京都労演で一緒に劇を見ませんか!
京都労演は鑑賞団体です。6回/年の例会があり、劇を鑑賞しています。
また単に劇団側から示される劇を鑑賞するだけでなく、見たい劇・要望を劇団側に伝え、共に良い劇を作るため頑張っています。
京都労演の詳しいことは
これからの例会
2025年9月
イマシバシノアヤウサ公演
『モジョ ミキボー』
脚本/オーウェン・マカファーティ
演出/鵜山 仁
出演/浅野雅博・石橋徹郎
9月26日(金) 午後6時30分開演
27日(土) 午後1時30分開演
会場=府立文化芸術会館
鵜山×浅野×石橋 文学座話題のユニット。
1970年、アイルランド・ベルファスト。映画『明日に向かって撃て!』に憧れる二人の少年、モジョとミキボー。異なる宗教の家庭に育った二人は出会い、越えてはならない橋を渡る――。
2025年10月
こまつ座公演
『きらめく星座』
作/井上ひさし
演出/栗山民谷
出演/松岡依都美・久保酎吉 他
10月29日(水) 午後6時30分開演
30日(木) 午後1時30分開演
会場=呉竹文化センター
人間はピカピカの奇跡そのものだ!
昭和15年の浅草。小さなレコード店「オデオン堂」にはいつも、歌と笑いに満ちていた。その家族に戦争の影が迫る…。
「一杯のコーヒーから」「私の青空」など、生ピアノと昭和の名曲歌謡に彩られた、井上ひさし珠玉の音楽劇。
お問い合わせ➡京都労演 TEL075-231-3730 FAX075-211-7855
観劇感想
2025年4月 劇団前進座公演
『あかんべえ』
現実と妖しの世界が微妙に交錯する独特の空気感が漂う宮部みゆきの小説の世界をどう舞台化するのか?大変興味深く思っていた前進座公演。
料理屋「ふね屋」を開こうとした場所には、五人の「お化けさん」が成仏できずに彷徨っていた。高熱に倒れ死の淵をさまよったふね屋の一人娘おりんは、お化けさんが見えるようになり、お化けさん達と関わっていくうちに、おりんの優しさが、お化けが成仏できずにいる理由を解きほぐし、30年前の一つの事件へと収斂していく。そしておりん自身の秘密も明らかになる。その謎解き的おもしろさ。
一つの舞台空間の中に現実と妖しの異なる世界をうまく融合して表現させ、また、怨霊たちの世界を歌舞伎的表現―立ち回り、所作、道具、等々―を用いて、見事に表現していた。
人間の欲・妬み・恨み等々から生まれ出る妖しの世界も、優しさの中で見事に溶けていく。
宮部みゆきワールドを見事に表現した舞台だった。
充分楽しませてもらった。
2025年6月 劇団チョコレートケーキ公演
『ガマ』
沖縄戦の実情については、時折聞かされるが、どこか他人事として捉えている面がある。
島民を巻き込んだ戦略は、本土決戦を遅らせる、終戦の可能性を探る、といった目的があったのだろうし、そのために島民が巻き込まれることなど全く考慮されていなかったのだろう。国民総動員の考え方がそれを可能にしていたのだろう。
より深く知り、自分の中に刻み付けておかねばならない。
ただ、軍部上層部の沖縄での血戦という考え方の裏に、沖縄人と本土民とは異なるというような意識がなかったか?
生徒を引率して、軍と共に島の南部に移動していた教師…米軍の攻撃で命を失っていく生徒の状態を目の当たりにし、耐えられず、北へ逃げた教師。命令とはいえ突撃で小隊を全滅させ、生き残った少尉。それぞれに重い思いを抱えながら、ガマに潜む。
その少尉を助け・介護する少女…看護隊員として奉仕を命ぜられ、日本の勝利を信じながら戦争遂行に協力しようとしている。
その一途な思いに悲しみを感じると共に、徹底した皇民教育が、ここまで人を変えてしまうのか、その恐ろしさを痛感した。
それでも、生きること、そしてこの戦争の実情・意味を考え続けること、“命こそ宝”ということをしっかり自分の物とするのだ、という知念老人の言葉が、正に救いであり、生きる力になっていくのだ、としみじみ感じた。
2025年8月 文学座公演
『欲望という名の電車』
大農園主の娘から落ちぶれ、娼婦まがいの生活を送りながらも、全てを失っていく現実をわかりながらも、その現実を認めようとせず、自らの高貴さ・気高さを失うまいとして、自らを偽り、架空の生活に身を置こうとしているブランチ。
妹の夫スタンリーにその嘘を暴かれ、現実を突きつけられた時、スタンリー夫婦の元を去るようバスの切符を手渡された時、救いの主になりそうだったミッチーに、自らの今の生活までのいきさつを知られ、なじられた時、遂に壊れてしまう。
何らかの施設(精神病院?)に収監されることになった時、その事実を知り、激しく抵抗するも、最後はあきらめ、救いを求め、昂然と妹の家から去っていく時の態度は、哀れに思えた。
それにしても、今から6,70年も前に、極端に男性優位の南部の州を舞台に、翻弄される女性を描く中に、若き頃の結婚相手の少年の自殺、それも同性愛を絡めての中での自殺、というような話題を提示し、また、大農園主の娘からの没落という、社会問題を取り上げたテネシーウィリアムズの名作といわれる作品。その重厚な・濃厚な舞台に感心した。